JAGDA OITAプロジェクト実績DESIGN CARAVAN 1997 in OITA

プロジェクト実績

DESIGN CARAVAN 1997 in OITA

DESIGN CARAVAN 1997 in OITA

1997年に開催された以下に概要を記載致します。

1997年JAGDAはデザインキャラバンを開始します
低成長の時代を迎えて地域と都市との間に新しいヴァリューバランスが生まれようとしています。速度と密度、つまり都市的なものに経済文化の可能性を追い求める意識は次第に希薄になり、むしろ過剰なものを抑制しながら生産と消費の堅実な調和を模索する、新しい社会意識が定着してきました。自然環境と人為環境の調和についてもより真剣なまなざしが注がれ、都市性よりもむしろ地域性のなかに多様で新しい経済文化の可能性が探られていく時代が到来しています。
こうした新しい社会意識の潮流にJAGDAは応えていきます。JAGDA教育委員会は本年度より「デザインキャラバン」を企画し、地域との交流を通して新しいデザインの地平を開いていく試みをはじめたいと考えます。これは地域振興に関する諸問題をデザインの視点から掘り起こすとともにそこに新しいデザイン文化の広がりを想像してみる実験です。
第一回デザインキャラバンのテーマは「観光」。交流人口の拡大や地域経済の振興を目的として様々な自治体が「観光」をテーマとした運動やプロジェクトを展開していますが、デザインはそうしたムーブメントをサポートし、より具体的な形に実現できる潜在力を持っています。地域の持つ本来の魅力を輝かせるためにデザインに何ができるか、あるいは安易な観光プロジェクトに組することなく、デザインの潜在力を新しい地域社会、地域経済の中でどう開花させることができるかを様々なステージでのディスカッションを通して考えていきます。
又、この企画は地域のデザイナーや学生にとどまらず、青年会議所をはじめとする地域の若い経営者および自治体の観光プロジェクトに携わっている方々にもご参加いただき、より具体的で実のある論議を実現したいと考えています。パネラーからの一方的なコミュニケーションではなく、参加者もパネラーも等距離のスタンスから「観光」という問題をとらえ、地域におけるデザインのリアリティをともに考える事のできる機会を創造したいと考えます。
JAGDA教育委員会

2.21 PROGRAM
DESIGN CARAVAN
THEME「観光とデザイン」
第1部 基調講演「21世紀的生活」
デザインという視点から近代の発展を総括し、21世紀の持続可能な生活様式について考える。
講師 佐野 寛
時間:13:10〜17:30
会場:多目的ホール
第2部 デザイン研究会
時間:15:00〜17:30

《観光と環境そしてコスモロジー(宇宙観)》
会場:302号室
講師:杉浦嘉雄(日本環境教育フォーラム理事)・浅葉克己・上條喬久・佐野 寛
観光に訪れる人々に充足感や感動、安らぎや癒しを与える要素としては、景観や気候、動植物の「自然環境」、地域の人々が培ってきた「歴史的文化的環境」、それらの総体としての「風土」などが上げられます。しかし、人はなぜその環境と出会うことによって魂の充電がでいるのでしょうか。それは訪れる者の心の奥底にあるコスモロジー(自分自身にとっての神話的宇宙観)がより豊かなものになるからではないでしょうか。このセッションでは"人々のコスモロジーを満たす、吸引力のある環境デザインとは何か"という視点で、(財)せたがやトラスト協会の杉浦嘉雄氏を迎えて、「世界各国にある、天と地をつなぐ環境デザイン」「宮澤賢治のコスモロジーと、彼の故郷・花巻市の観光」など、深層心理的なエピソードを前半に語っていただきます。後半ではこの話題を受けて、大分本来の観光資源にさらに磨きをかけ付加価値をつけるために、デザインにはどのような提案ができるのかをテーマに、「環境とデザイン」の視点からディスカッションを行います。

《もてなしのデザイン》
会場:304号室
講師:奥村靫正・田積司朗・田中一光・松井桂三
「もてなす」は、とりなす、とりつくろう、ふるまう等と同様、生活文化の基本である。あるときは、馳走でもてなし、酒・茶・菓子・花・香・打水などの季節のもてなし、心のもてなし、日本人特有の情感溢れる作法として生きている。戦後半世紀。わが国の生活様式が和風から洋風へと大きく変化してきた中で、座敷での型を基本に伝えられた「住」。かつては家庭の味を主とした「食」文化。道具の一種とも言った「衣裳」。衣食住の順位は別として、もてなしが現代にどうデザインされるのか、どう適応していくのか。パネラーは江戸、上方の住人。江戸、上方の「もてなし」と「しつらい」を視点に、地域の観光や未来活性をデザインしていきます。

《観光地のサイン計画》
会場:305号室
講師:青葉益輝・神田昭夫・平野湟太郎・宮崎光弘
サイン計画は、はじめての来場者のスムーズな移動のためのオリエンテーション・システムであるのみではなく、地域の景観計画、あるいは市街環境の視覚的なオリジナリティ創出のための空間演出的なメディアであるとも考えられます。とくに観光地のサインデザインは、ツーリストの特別な感情を盛り上げ、それでいて景観破壊につながらないよう注意しなければなりません。ここでは、サインデザインの具体例をお話ししたり、広くインフォメーション・デザインの視点から、観光地のサインについてディスカッションを展開します。

《お土産とデザイン》
会場:309号室
講師:友枝雄策・三木 健・若尾真一郎・渡邉良重
人は旅をするとお土産を買う。買う理由は人それぞれであるが、単なる買い物とは違う旅としう限られた時間と空間の中で、人はどのような理由でお土産を選ぶのか。ここでは、商品のパッケージから中身の品物や味も含めて、今回参加する講師21名が選んだ大分県の物産品をとりあげ、地域の特産品の魅力をひきだすためにデザインに何ができるのかを議論していきます。

《温泉と建築》
会場:大会議室
講師:隈 研吾(建築家)・竹山 聖(建築家)・佐藤 卓・原 研哉
温泉旅館というものは明快な典型をもっており、その安逸な典型が多くの人々の支持を得て定着していると考えられますが、温泉地のオリジナリティを創出する方法として、あるいは温泉地に新しいリゾートのリアリティを生み出して行くために、建築にどんな可能性があるかについて最前線で活躍中の建築家、隈研吾氏、竹山聖氏を迎えて、ディスカッションを行います。また地域開発のための建築及びデザイン関連プロジェクトがこの10年の間に数多く誕生していますが、そういう事例を踏まえながら広く地域開発の現状と今後を探っていきます。

2.22 PROGRAM
ONE DAY SCHOOL
リレー講演会
時間:10:10〜12:00
会場:多目的ホール
青葉益輝/浅葉克己/奥村靫正/上條喬久/神田昭夫/佐藤 卓/佐野 寛/澤田康廣/田中一光/田積司朗/友枝雄策/原 研哉/平野湟太郎/松井桂三/三木 健/宮崎光弘/若尾真一郎/渡邉良重
ルームゼミナール
時間:13:00〜15:00

《CG v.s. 頭と手》
会場:302号室
佐野 寛・田中一光・友枝雄策・松井桂三塾
'90年代に入り、グラフィックデザイン業界へのCGの参入は加速度を増して拡大し続けている。ソフトの新商品が次々と発表され、価格も安くなり、誰もがCGを手に入れることが出来る時代になった。きのうまで素人だった人が、ある程度のテクニックを覚えれば、作業的な仕事を短時間でこなせるようになり、便利で非常に良いことのように思えるが、一方では、これでいいのだろうかという疑問も生まれてくる。CGのない時代にデザイナーは、まず、描くためのテクニックを数年かかって覚え、それと同時にデザインの感性、個性も次第に高まり、審美眼を身につけてきた。今更過去に戻ることはできないが、何も分からない内にテクニックだけ身につける若いデザイナーに不安を感じるのは私たちだけではないだろう。こういう時代だからこそ手で描く事の大切さと自分の頭で考える事の大切さを再確認してみたい。

《プロになりたい人、集まれ》
会場:304号室
青葉益輝・浅葉克己・田積司朗・平野湟太郎塾
4人のデザイナーの学生時代の話と、デザインの発想から定着まで、アイデアの出し方から、印刷・入稿までを、詳しくお話します。当日は課題も出します。
《好きなもの、気になるもののデザインを徹底討論》
会場:305号室
奥村靫正・上條喬久・宮崎光弘塾
生徒の皆さんに、今、自分が一番好きなもの、気になるものを、一つ持ってきてもらいます。自分の作品でも、デザインから離れた内容のものでもかまいません。それらひとつひとつについて、講師と学生がデザインという視点からディスカッションをして、そのものが持つ魅力や問題点を徹底的に探り、一番いいデザインのありかたを提示します。

《グラフィックデザインとイラストレーション》
会場:309号室
三木健・若尾真一郎・渡邉良重塾
グラフィックデザインとイラストレーションの関係は、グラフィックデザイナーとイラストレーターとの関係でもあrます。1人1役であったり、1人2役であったりもします。ここでは講師の実際の仕事を提示し、スライドを交えて、グラフィックデザインとイラストレーションの関係を分かりやすく解き明かしていきます。

《デザインのフィールドとその現場》
会場:大会議室
神田昭夫・佐藤 卓・澤田康廣・原 研哉塾
グラフィックに留まらず、広告、パッケージ、プロダクト、テキスタイル、空間プロデュース、そして展覧会企画、デザイン教育など広いフィールドで仕事をしている4人のメンバーが、それぞれの視点から各自のデザインに対する思いを中心に、様々なエピソードや経験を交えて話を進めていきます。そして、皆さんから出される質問や日頃から考えている意見に対しても耳を傾けながら、クラス全体でディスカッションを展開していきたいと考えています。また、時間の許す限り我々も参加して、設定したテーマにアイデアを交換しあうワークショップも準備しておきました。話を聞くだけでなく、意見を述べ、頭を使い、手を動かす。デザインの現場の香り漂う内容充実の2時間。乞う御期待。

デザイン・キャラバン1997大分
DESIGN CARAVAN 1997 in OITA
会期=1997年2月21日(金)・22日(土)
会場=大分コンパルホール
主催=社団法人日本グラフィックデザイナー協会
企画・実行=JAGDA教育委員会・JAGDA大分地区
後援=九州通商産業局・大分県大分県教育委員会大分市大分市教育委員会・社団法人大分県観光協会・大分県商工会議所連合会・大分県商工会連合会・ 大分県印刷工業組合・大分県広告美術協同組合・大分県デザイン振興協議会・大分広告協会・大分合同新聞社NHK大分放送局OBS大分放送TOSテレビ大分OAB大分朝日放送エフエム大分大分ケーブルテレビ放送
協賛=三和酒類株式会社・大分県旅館環境衛生同業組合・東九州機械工業株式会社株式会社大宣おおいたインフォメーションハウス株式会社有限会社デザインマップ・デザインウィット・株式会社インタープリンツ三和印刷株式会社株式会社ブレーン・株式会社大分朝日広告社・有限会社ワイ・株式会社写研・大日本印刷株式会社大日本スクリーン製造株式会社特種製紙株式会社株式会社中川ケミカル・株式会社ココス
協力=熊本デザイン専門学校凸版印刷株式会社

コメント(0)

コメントをどうぞ

プロジェクト実績一覧へ